ATマウントバッファー交換(2012.1)
リアのサブフレームマウントを交換してから、振動が収まったのですが、今度は大きな段差で運転席の下辺りから「カツン!」とかなりの衝撃が伝わってくるようになりました。
ATのマウントバッファーが怪しいという事で、交換する事にしました。
ATマウント(正しくはギアボックスマウント)は主に、マウントプレート/スプリング/バッファーの3つから構成されていると考えれば良いと思います。
ジャガーは独特なマウント方法を採用していて、まるでサスペンションのようにスプリングを使ってATをマウントしています。これが垂直方向の衝撃を吸収します。
マウントバッファーは、ATを保持しているシャフトを包むように付いていて、水平方向の衝撃を吸収する役割をしています。また、位置的におそらくスプリングの補助としてバンプストップとしての役割も果たしていると思われます。
これがX300のショックアッパーブッシュのようにウレタンで出来ていて、古くなると粉々になるのです。
交換作業自体は複雑なものではありませんが、少しコツが要ります。
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下に潜ってATを車両前側から見たところです。
前の半円形のものがトルコンのベルハウジング、真ん中辺りの角張った部分がATのオイルパン、その後ろの台形部分がATマウントです。
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ATマウントの拡大写真。
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ATマウントバッファーは、横から見るとチェックできます。
このようにオレンジ色の粉が出ていれば替え時です。ここまで行くと末期といっても良いかもしれません^^;
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マウントプレートを外す前に、ATを支えるためにオイルパンの下からジャッキを当てます。
このとき、写真のように大きな木のブロックを噛ませて下さい。
オイルパンは薄い鉄板なので、薄い木の板くらいでは意味が無く、パンをへこませてしまいます。
厚い木を使って応力を分散させる必要があります。
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まずはATマウントプレートを留めている周囲の4つのボルトから外していきます。
厄介なのはマフラーのパイプの影にある、車両前側のボルトです。
ここのボルトの頭は1/2なのですが、かなり固く締まっているくせに場所が狭く、普通のスパナ/レンチではどうにもなりませんし、ボックスも入れられません。
そのため、私は、超ロングサイズで角度調整できるラチェットめがねレンチを買ってきました。インチでこのような工具はなかなか売っていないので、仕方なく一番サイズの近い13mmで代用しました。
今回の作業は、マフラーパイプを外すのでもない限りこの工具がない事には始まりません。
車両後ろ側のボルトはボックスが使えるので簡単です。
こちらは9/16インチです。
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次にタイプレートの2本のナットを外します。
注)タイプレートの所にある一番大きなナットはこの時点では絶対に緩めてはいけません。
バネの応力が聞いていますので大変危険です。
これがまた骨です。
上のボルトが空回りするのです。
私は上のボルトの頭に14mmのクロウフットレンチを噛ませて回しました。
このような工具です
上の写真を見るとちらっと端が見えていますが(写真内、赤矢印)、タイプレート上のブラケットに、クロウフットレンチが勝手に引っかかって回り留めをしてくれるのです。
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そこまで出来たら、このような木のアダプタを用意します。
それを、マウントプレートにかませ、ジャッキアップして、スプリングを縮めておきます。
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ここで初めて、タイプレートの大きなナットの取り外しが出来ます。
ナットを外す時に、中のスペーサーやワッシャーが一気に落ちてくるので、なくさないよう注意が必要です。
ナットを外したら、徐々にジャッキを下げ、プレートを取り外します。
マウントプレートを取り外した後。
写真中央、マウントバッファーの位置決めシャフトが見えます。
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取り外したミッションマウント。
真ん中のオレンジの物体がボロボロになったマウントバッファーです。
悲惨なくらいぼろぼろでした。
右は新品です。
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新品のバッファーは、マウントプレートの中央の穴に押し込まなくてはいけません。
今回来たものは対策品のゴム製バッファーだったのですが、まあ固いの何の、どう押し込んでも入らず参りました。
夏でゴムが柔らかければまだ良かったのでしょうが・・・
最終的には若干ゴムを削って無理矢理ドライバーでこじりながら押し込みました。
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各部品の位置関係を模式図にして示しておきます。
バラバラになってしまったらこの通りに組み上げて下さい。
私も最初はどこに何があるのか分からず往生しました。
そもそもマウントバッファーがスカスカになって遊んでいたので、このようにはまり込むかどうかすら、最初は分からなかった程です・・・
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あとは、逆順に辿っていって終了です。
※公式整備マニュアルと今回の整備の相違点
整備マニュアルでは、
・ATのオイルパンにジャッキを噛ませる代わりにエンジンを吊ってATが落ちないようにする
・マフラーを外してスペースを確保してから作業する
という点において、今回の作業とは異なっています。
しかし、DIYでやるのにエンジンをわざわざ吊る必要はありませんし、マフラーもわざわざ外す手間を考えると、工具を一つ買いに走った方が間違いなく楽で早いです。
マフラーは一度外すと排気漏れを誘発する可能性もあります。また、錆び付いて取れない可能性も高いです。
特に厳密に従う必要はないでしょう。