XJS マイナーチェンジ/その他の年表一覧
XJSは一度大きなマイナーチェンジを受けています。
そこを境に名前もXJ-SからXJSと改められました。
マニアにとっての重要なマイチェンということで見れば、三度のマイチェンで4つのモデルがあると見ることが出来ます。
1. pre H.E.
2. H.E.
1. 2. を合わせて前期(事実上1.は日本に存在しないので、国内では2.のみと言っても良い)
3. 中期(ビッグマイナー後のモデル、バンパーが黒の樹脂製)
4. 最終(カラードバンパーモデル)
3. 4. を合わせて後期(4にも細かい違いがあり、市場価格に反映されている。後述)
Wikipediaの記事のベースは私が書いたものですが、それを改訂してここに記載しようと思います。モデルライフが長かったせいで、このページも非常に長いので、暇な方のみご覧下さい(笑)
XJ-S(1975年-1990年)
1975年
9月デビュー。
当初ボディ形状はクーペのみ、エンジンも5.3L V12のみのラインナップ。
トランスミッションは4速MTまたはボルグワーナー製BW12型3速ATが選べた。
内装はシンプルで、ウッドは採用されず、ダッシュボードは黒一色のビニール合皮であった。
アメリカ仕様はヘッドライトが2灯式に改められ、バンパーも大型のものがつけられていた。
1976年
2月
変更内容は以下の通り。
・スロットルペダルの強化
・トランクのエンブレムのデザイン変更
・油圧センサー/センダーの改良
・ドアアパーチャークロームトリムの廃止
・パワステポンプマウント強化
・オイルフィルターの変更
10月
・パワーアンプとデスビの改良
・オルタネーターがルーカス製からモトローラ製へと変更
・ブレーキのバキュームサーボ改良
・エキゾーストのダウンパイプが短いタイプに変更
・フロントハブの変更(スタブアクスル/ベアリング)
・ステアリングホイールアジャスターの変更
1977年
4月
・ボルグワーナー製ATがGMのTH400に置き換えられる
・MT車のブレーキ/クラッチペダルのデザイン変更
1978年
2月
・フロントグリルがクロームタイプに変更
・トランクのリアライトの間のパネルがボディ同色になる
・シルバーグレーのリアライトサラウンド採用
・B/Cポストがつや消し黒になる
・リアの牽引用トーイングアイが大型のものに置き換えられる
・ホイールナットのサイズ変更
・シートスライドとマウントの変更
・ハンドブレーキキャリパーの改良
5月
・エアクリーナーボックスのデザイン変更
10月
・イグニションアンプの位置がフロントクロスメンバーに移動となる
・4速MTモデルの廃止
・ウォーターポンププーリーのデザイン変更
1979年
1月
・メーターの表示がマイル/キロ両方になる
・エキゾーストダウンパイプのフィッティングが変更となる
4月
・サイドミラーが四角いタイプのものに変更
・センターコンソールが他の部分のトリムカラーと同じものに変更
(初期は全部黒だった)
・カーペットのカラーリング変更
(内装色とのコントラストを考えたカラースキームとなる)
・アンテナの位置変更
1980年
1月
・リアフォグの採用
11月
・デジタルPフュエルインジェクションの採用
・冷却ファンがプラスティク製となる
・クーラントエキスパンションタンクの変更
(中に空気が入るタイプへ変更)
・燃料フィルターの位置変更
(トランクの中へ)
・燃料ポンプの改良
・パワステポンプの変更
・オイルサンプドレンボルトの位置変更
・伸縮するアンテナの採用
1981年
7月
・V12エンジンがHEエンジン(HEはHigh Efficiency 、高効率の意)に換えられ、車名にも「HE」の2文字が加えられた
これはヘッドの燃焼室形状を見直したものであり、燃費も大幅に改善した
パワーも295bhp/5,500rpmに引き上げられた
・バンパーのクロームモール採用
・インテリアのウッドパネル採用
・リアアンチロールバーの廃止
・インナー/アウタードアハンドルの内側が黒い樹脂製になる
・ブロアファンのファンがプラスティック製になる
・スペアタイヤに黒いビニール製カバーが付く
・リアライトサラウンドがクロームになる
・パワステラックがインチ規格からメートル規格のものへ変更となる
・クルーズコントロールの導入
・上記に伴うスピードトランデューサーの採用
・ウインドウウォッシャータンクの大型化
※この年にTWRがXJSでヨーロッパツーリングカー選手権に参加し始める。
1983年
AJ6エンジン(AJはAdvanced Jaguar 、発展したジャガーの意)搭載の XJ-S 3.6 発表。
出力は221bhp/5,000rpm、トルク34.4kgm/4,000rpm。
直6モデルではカブリオレも追加された。車名は XJ-SC 3.6 であり、車体形状はいわゆるコンバーチブルではなくタルガトップタイプだった。
トランスミッションは当初ゲトラグ製5速MTのみ。
1984年
・ボディシェルのデザインが若干変更
・フロントスポイラーが硬質樹脂製になる
・スピードメーターが電子式になる
・Hirschman製のアンテナ採用
※ジャガーカーズ社がレイランドグループから独立。
また、TWRがヨーロッパツーリングカー選手権で優勝した。
この年には4WDモデルのプロトタイプが作られているが、生産には至らなかった。
1985年
6月
・V12のカブリオレ発表。車名は XJ-SC V12
・トランクのHEのエンブレムがV12に変更になる
・サンバイザーがトリムカラーと同色になる
(それまで黒のみ)
・シートアジャスターがクロームになる
・すべてのモデルで布シートのオプションが選べるようになる
・デフにDana製のものが一部採用される
1986年
・第3世代のオートエアコンシステム採用
・3点式シートベルトの採用
※アメリカのHess & Eissenhardt社の手によるコンバーチブルモデルが発売される(88年までに延べ2000台が作られた)。
アメリカでは正規ジャガーディーラーで入手出来たようだ。
また、ダイムラー版XJSおよびLWBのプロトタイプが作成される。
1987年
2月
・3.6LモデルにATモデル追加、ミッションはZF製4HP22。
これはXJサルーンがXJ40系にシフトしたのを受けたことによる。
・6気筒モデルのECU変更
・Hella製のクルーズコントロール採用
・オルタネーターがBOSCH製からLUCAS製に変更
・6気筒モデルのベルト/プーリー変更
・ステアリング形状変更
・センターコンソールにウッドパネル採用
・ウィンドウウォッシャーがツインタイプに変更
・ドアミラーに熱線入りのタイプを採用
・トレッドプレートがステンレス製になる
・クーペの給油キャップがロッキングタイプに変更
・シート形状変更
・上記に伴いシートベルトキャッチの変更
・上記に伴い、V12モデルで電動ランバーサポートの採用
9月
・XJ-SC 3.6が生産終了
1988年
2月
・XJ-SC V12が生産終了
3月
・テベスのABSブレーキシステム採用
・フロントサスのヴァーティカルリンク改良
・ボールジョイントが非分解式になる
・15インチラティスホイールの採用
・セントラルロッキングシステム採用
・スターターモーターがルーカス製のM80に変更
・ボンネットのインシュレーション変更
・コーチラインが2色のダブルラインに変更
4月
・XJSコンバーチブルを発表
オープントップはカルマンの手による。
8月
・XJR-S発表。
トム・ウォーキンショーのTWRとジャガーの合弁会社(出資比率50:50)ジャガー・スポーツより発売された(詳しくは後述)。
当初は5.3Lでエアロ/アロイホイールを装着した セレブレーション・ルマン というモデルを販売していた。
11月
・V12のエンジン制御がルーカスからマレリーに変更
・無鉛仕様のガソリンに対応させるためエンジンブロックに変更
・3速ATの見直し
※ルマンにてジャガー優勝。
1989年
3月
・直6モデルのエンジンが無鉛仕様に変更
(点火タイミングの見直し)
6月
・アメリカ市場でスペシャルエディションの ルージュ・エディション 発売。
ボディは赤、ホイールはメッキで中央が赤く塗られたラティス、内装も赤いトリムが施されたクリームレザーであった。
8月
・XJR-Sの6Lモデル発表。
ザイテックのシーケンシャルインジェクションシステムにより、318bhp/5,250rpm、トルク48.5/3,750rpmと大幅にパワーアップしていた。
ステアリングラックや足回りにも専用のものが奢られた。
・ワイパーシステム変更
(止まる位置が逆になった)
・ステアリングのチルト機構採用
・ステアリングコラムの変更
・イグニッションスイッチの位置変更
(ステアリングコラムに取り付け、それまではDD6と同じようにメータークラスタの下にあった)
・すべてのモデルでステアリングラックが同じタイプのものになる
(パーツナンバーは別だが、シールキット等が共通化された)
・ダッシュボードがトリムカラーと同じになる
(それまでは全て黒)
・アメリカ仕様のステアリングがエアバッグ付きになる
・アウタードアハンドルの形状変更
※この年、XJSの最高年間売り上げを記録する。
フォードによるジャガー社買収。
1990年
9月
・ル・マン24時間レース優勝を記念した限定モデル XJ-S ル・マン 発表(クーペのみ)。
通常モデルと異なる点は
・パイピングレザー/クリームレザー内装
・専用トレッドプレート
・ミラー/チンスポイラーボディ同色
・専用エンブレム
等。
・触媒が全車に搭載される
XJS(1991年-1996年)
1991年
5月
ビッグマイナー。
ボディ形状はV12がクーペおよびコンバーチブル、直6はクーペのみ。
エンジンは直6が4Lに拡大され、V12はインマニ形状やフューエルレール形状が見直されたことで信頼性が上がった。
※ただし、公式なアナウンスは無いものの、V12に関しては精度が若干落ちている様子。
ミッションはV12がGM製TH400(3速AT)、4LモデルがZF製4HP24(4速AT、3.6Lと違い電子制御)またはゲトラグ製5速MT。
クルーズコントロールがXJ40と同じタイプのものに変更され、信頼性向上。
ブレーキホースの取り回しが変更。
ボディパネルはおよそ40%が刷新され、生産効率が向上。
外装の主な変更は以下の通り。
・テールライトがブラックアウトされた横長のものに変わる
・ボンネットのセンターバルジが盛り上がる
・フロントグリルのデザイン変更
・リアサイドリアウィンドウのデザイン変更
・サッシレスウインドウの採用
内装デザインの変更は以下の通り。
・シート形状の変更
・シートメモリ/シートヒーターつきシートの採用
・上記に伴うドア内張りのデザイン変更
・メーターのデザインがXJ40と似たものに変更
・トリップコンピュータを刷新
・エアコンがフルオートになる。
日本国内におけるモデルのシートは、V12が本皮シート、直6モデルはハーフレザーシートという設定だったが、本国では4リッターにも本革シートがオプションで用意された。
9月
XJR-Sもマイナーチェンジを受け、後期型ボディで発表される。
6Lエンジンにザイテックのエンジンマネージメントは同じだが、インマニのデザイン等は後期に準ずる。
エアロやホイールのデザインも一新された。
1992年
月次不明
・ドアハンドル形状がXJ40と同じものに変更される。
2月
・4Lのコンバーチブル発表。
・運転席のエアバッグが標準装備となる
それに伴いハンドル形状が変更。
・コンバーチブルのフロア強化のため、ブレイシングストラットが前後に入れられる
1993年
5月
・すべてのモデルで黒い樹脂製バンパーから大型カラードバンパーへ変更
・上記に伴いマフラーの出口形状も変更
・アウトボードタイプリアブレーキ採用(XJ40と同じタイプ)
・16インチホイール採用
・シフトレバーの形状変更
・コーチラインはステッカーから塗装へと変更。
・V12コンバーチブルが2人乗りから後席を設けた2+2に変更(日本導入は1994年以降)。
・V12モデルはクーペ・コンバーチブルともにエンジンが6Lに拡大され、300ps/5,350rpm、48.4kgm/2,850rpmを発生。
エンジン上部にカバーが取り付けられ、見た目にも変わった。
トランスミッションは3速ATからGM製GM 4L80E 型4速AT(電子制御)に変更され、それに合わせてデフも変更。
1994年
5月
・4LモデルのエンジンがAJ16エンジンに変更
最高出力は238bhp/4,700rpm。
※これはX300よりも低いが、実は吹け上がりはXJSの方が上。
・助手席エアバッグが標準装備となる
・シート形状がヘッドレスト一体型に変更
V12モデルのシートはルーシュドレザー(しわを作るように縫い込む製法)とされ、より豪華さを増した
月次不明
・ドアトリムのハンドル付け根のメッキ部分がレザーになる。
・シフトノブがグリップタイプに変更。4Lはレザー、6Lはウッドを採用
・V12のホイールが20本スポークタイプに変更
・エアコンダクトの形状が変更。リアの灰皿が無くなった代わりにその部分までダクトが配される
・フェイシアエアベントの形状変更
・エアコンは、制御系が内気循環ボタンを備えた日本電装製のものになる
コンプレッサ、ホース類、エキパン、全て変更
・オルタネーター変更
・ブレーキシステムがバキュームサーボ式に変更
※ただし、これらの変更は同時に行われたわけではなく、車によりそれぞれの導入次期が入れ違っている。
1995年
5月
・V12モデル生産終了。
ただし特別に注文があった場合は生産された。
・リアブレーキキャリパーに若干変更
・スピーカーが2Wayから1Wayに変更
※上記2件はサルーンがXJ40からX300に変更されたのを受けてのもの。
・4Lモデルでジャガー社50周年のセレブレーションモデルを発表。
日本ではリミテッドとして50台限定発売された。
ウッドがサップウッド(色調が明るく杢目の少ないもの)となり、レザーも上級のオートラックスが使用されていた。
ホイールは専用のディッシュタイプを採用。
1996年
全モデル生産終了。
最後のAJ16エンジンはエキマニカバーがメッキではなくなっている。
また、セレブレーションモデルのレザーの質も、95年と96年では若干違う(96年の方が薄いが滑らか)。
XJR-S(1988-1993)
通常モデルとの違いは以下の通り。
・TWR製エアロ装着
(フロントバンパー、サイドスカート、リアバンパー、リアウイング)
・専用ホイール採用
前期:スピードライン製15/16インチ8J
後期:ディッシュタイプ16インチ8J(最終4Lとよく似ているが別物)
・momo製専用ステアリング
・グリップタイプシフトノブ
・パイピングシート
・専用スプリング/ショック(ビルシュタイン製)
・専用フロントスタビライザー
・ザイテックシーケンシャルエンジンマネージメントシステム
・8W型6Lエンジン(コスワースによるチューン、専用コンロッド等が使われている)
・ルーカス製ディストリビューター
・4本出しの専用マフラーカッター
・コールドエアインテーク付きラジエーターアッパーパネル
・専用エアインテークボックス
その他諸々。
1988年デビューとなっているが、初期型には謎が多い。
1984年には既に「TWR Sport」という名称のXJSスペシャルモデルを作る旨、トム・ウォーキンショーが発表している。
そのため、TWRによるワンオフモデルとしては1986年頃からあったらしい。
ごく初期のモデルでは6.3Lに拡大され380bpsを誇るスペシャルチューンのエンジンが積まれているものもあった。
その上、オプションでクイックシフトの5速MTやAP製ビッグキャリパー/2pcローターブレーキ、レカロ製電動スポーツシートなどを選ぶことも出来た。
1988年にJaguarSport社がTRWとジャガー社の50:50出資によって誕生すると、最初はルマン優勝記念モデルとして5.3LのXJR-Sが100台限定で発売された。
これには記念プレートが付いている。
しかし、実際にはエアロと特別内装を奢られ、ショックとスプリングのレートが上がっているだけで、エンジンのパフォーマンスには何ら変更が無い。
翌年には6Lモデルが発表され、これは実際にパワーアップしていたが、この時期にTWR時代のような特別注文を受けていたかどうかは定かではない。
後期型のXJR-Sは93年まで作られ、XJSのV12が6Lになった所で入れ替わるような形になって生産が終了し
た。
アメリカでは後期型も5.3Lで販売された。マネージメントシステムはザイテックだが、エンジン自体のチューンがされていたかどうかは怪しい。
ただし、アメリカでは後期型XJR-Sがクーペ50台、コンバーチブル50台とそれぞれ限定での販売となり、世界で唯一XJR-Sコンバーチブルが販売された国となった。