リレー接点を磨く



原因不明のエンストの原因を一つずつ洗い出すべく、燃料ポンプのリレーの接点を確認することにしました。
SHIOさんにご指南いただき、あっという間にできる作業でしたのですぐに取りかかりました。
いつもありがとうございます。



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さて、リレーとは何か?
意外と知らない方も多いのではないかと思いますので、軽く説明をしておきます。
リレーというのはエンジンルームやトランクルームに並んでいる、写真のような小さい箱です。
中にはコイルが入っており、電流が流れることで電磁石になります。
コイルの横には接点があり、これはスイッチの役目を果たしています。


電流が流れていないときには接点が離れているのですが、電流が流れたとたん、コイルが電磁石となり、離れている接点を磁力で引き寄せます。
すると、接点が通電し電気が流れるという仕組みです。


なんでそんな鬱陶しいものがついているかと言いますと、早い話が遠隔スイッチなのです。
クルマに使われている機器はかなり大きな電流で動いています。これを運転席周りの人間の手が届くところまで持ってくると、万が一漏電でもしたら非常に危険です。
それゆえ、人間の周りには少ない電流しか流れない線ばかりを持ってきておきます。人間は、その線に繋がれたスイッチを操作すれば安全です。
小さな電流(上図赤→)はリレーに繋がれており、電磁石を作動させます。すると、人間は手を触れずに大きな電流(上図緑→)の流れる回路のスイッチを入れることができるという訳です。



※ジャガーXJ6 メンテナンスコーナーの小川さんより詳しいご説明を頂きました。
 上の理由もさることながら、最も大きな理由は下のようなことなのだそうです。

・スイッチをそのままつけると、大きな電流を流すために容量の大きなスイッチが必要になりますが、リレーを使えば、スイッチの開閉に微弱電流を使うだけで良くなり、小さいもので事足りる
・リレーを使うことで、配線を細くすることが出来る(手元のスイッチまで太い線を持ってこなくても良い)ので、軽量化とコストダウンが出来る
・最近のクルマでは、配線をもっと減らすために、光ファイバーを使ってLANを張り巡らせて軽量化している

 ご教授ありがとうございましたm(__)m




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さて、X300のリレーの多くは青色か黒色をしていますが、そのプラスティックのカバーは爪で止まっているだけなので意外と簡単にとれてしまいます。
写真はカバーをとったところです。
手前側が接点です。



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その裏側。
バネが見えますね。これで普段は接点のついた板を引っ張ってスイッチをオフの状態にしている訳です。



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上から見た図。
左下の隅のところに接点があるのが分かります。



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接点部分をがばっと開いたところ。
写真上側に接点部分を開くような形で撮っています。

小さな四角い部分が接点になっています。
この写真で見ると、接点に黒い酸化皮膜というか焦げのようなものができているのが分かります。
接点が触れてオンの状態になるとき、強い電流が流れて軽くスパークするような状態になるので、このようになります。

金属には自由電子といって、金属内を自由に動き回ることのできる電子が存在しています。電気=電子、電流=電子の流れ、ですから、金属が電気を流すのはこの自由電子があるためです。
しかし、酸化すると、別の物質(普通は酸素)がくっついて(この場合スパークで高温になり焼ける=酸素がくっついてさびたのと同じになる)電子は固定されるため、電気が流れなくなります。

したがって、こういう酸化皮膜ができると電流の流れが悪くなり、場合によっては機器の動作に影響を及ぼします。接点不良による不具合、というものの原理はそういうことです。

ということで、これを削り落とします。
今回はカッターでこすってこそげ落としました。
接点が滑らかでないと、通電がスムーズにいかずまた荒れてしまうので、目の細かいペーパーなどできれいにしておいてください。





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今度はイグニションコイルのリレーをあけてみたら…えらいことになっていました。
接点が焦げて真っ黒です。



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上の続き。
影ではなくすすです(汗)

新車から何年も経った自動車では各部でこのようなことが起きています。
輸入車のマイナートラブルの多くはこのような接点不良が原因となっています。
皆さんも是非掃除してみましょう。






2011.5追記

X300の97MYおよびX308に使われているリレーは若干構造が違うので、追記しておきます。



X300 97MY以降はこのような茶色のリレーに変更されています。





プラスティックの枠が付いて



ばねが板ばねに変更されています。





接点を掃除するにはこの板ばねを外し・・・






接点の付いた板をスライドさせつつ外します。






このように接点が出てきますので、ペーパーで磨きます。





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