リアハブベアリング交換その1(2010.4)



2008年の冬あたりから、左の方からキリキリと音が鳴っていることに気付きました。ガードレールなどがあると反射して聞こえる程度だったのが、だんだん大きくなってきて、窓を開けて走っているとかなりなっているのがどこでも分かるレベルになってしまいました。

最初は反射して聞こえていた上、速度によって音が変化することもなかったため、電動ファンを疑って換えたのですが効果なし。そこで、もう一度良く聞くと、左リアから音が鳴っていることに気付きました。

リスターさん、SHIOさん始め、みんカラの方々に色々伺って、やはりベアリングが怪しそうだということで、家族の勤めている国産車ディーラーで見てもらったところ、ビンゴでした。

ここを換えるとなると相当高価になるため、いろいろな方にさらに相談をした結果、
「ジャガー XJ6 Series3 メンテナンスコーナー」管理人さんの小川さんにお手伝いいただけることになり、修理するに至った次第です。


1
まずはリアハブの構造をパーツリストの絵を使って予習です。

1. ハブ
2. アウターオイルシール(グリスを閉じ込めておくためのものです)
3. アウターベアリング
4. アジャスタブルスペーサー(ベアリングがスムーズに動くよう隙間を調整します)
5. ベアリングスペーサー(アウターとインナーのベアリングの間を埋めます)
6. カラー(センターがきれいに出るように)
7. ハブナット
8. バブキャリア
9. インナーベアリング
10. インナーオイルシール
11. ABSローター(後述、ABSセンサーがこれでタイヤのロックを検知します)
12. ボルト(今回関係なし)
13. フルクラムスリーブ
14. フルクラムシャフト(ロアアームとハブキャリアの結合)
15. フルクラムベアリング
16. スペーサー
17. ワッシャー
18. ナット
19〜21関係なし(というよりもX300には図に描いてある19,20のピンはありませんでした)
22. ABSセンサー固定ボルト


4/4追記
14番のフルクラムシャフトは、95年式初期モデルと96年式モデル以降でパーツが違うようです。前期はリアのトー角が調整できないという話がありますが、それはここのパーツの違いによるものです。


パーツリストの絵と違い、ボルトの頭に台座がついているのがお分かりいただけると思います。この台座、写真を見ると分かる通り、偏芯していて、これを回すとハブキャリアの角度が変わるようになっています。また、位置を表すための印もついていますね。
従って、分解前には、ここに必ずペン等で印を付け、トー角が狂わないようにして下さい。
あるいは、分解後アライメント調整に出した方が良いでしょう。

前期型にお乗りの方は、このフルクラムシャフト(とロアアーム)を交換するだけでトー角の調整が出来るようになると思います。




2

タイヤハウスに潜るので、ジャッキアップは慎重に、さらには必ずウマを噛ませましょう。

まずホイールを外します。
ホイールを外したらブレーキキャリパーを外します。







キャリパーの外し方は至って簡単です。
パッドを止めているバネの留め具を外し、パッドを外した後、キャリパー裏にある2本のボルトを外すだけでフリーになります。

少し画像が悪いですが、丸の中が2本のキャリパー裏のボルトです。








外したら、ブレーキホースにダメージが及ばないよう引っ掛けておきます。






キャリパーを外したら、ローターを外します。
ローターは、ホイールがはまっているのと同じで、ハブにかぱっとはめてあるだけなので、簡単にとれるはずなのですが、今回これが完全に固着しており、これを外すだけで1時間はかかったと思います。
作業前に、ハブリングと、ハブボルトの根元に556を指しておくと良いでしょう。

そのあとは、ABSセンサーを外します(
ABSセンサーの仕組み参照のこと)。
ボルト1本でハブキャリアの上部に止まっているだけなので、これもすぐにとれます。
外したらウェスで清掃しておきましょう。

上の写真でハブの周りに見えているのはハンドブレーキのブレーキシューです。







ここで、本来はハンドブレーキのワイヤーをフリーにしておかなくてはなりません。実際に行った作業では、ハブアッシーが外れた時点で、重いハブアッシーを支えながらなんとか外しましたが、固定された状態でないとハンドブレーキを外してワイヤーをフリーにするのは相当骨の折れる作業になります。

ハンドブレーキのケーブルは、ハブキャリアの下側に通され、ハブの下側から出てきて、ハンドブレーキにつなげられています。
ハブキャリアを下から見ると、プラスティック製のアダプタで止められたハンドブレーキケーブルが見えますので、このアダプタを外します。写真がそのアダプタです。
写真ではハブキャリアが上下逆さまになっています。






ハンドブレーキワイヤーは、ハブの下側から通され、そこでブレーキシューのアジャスタとつながっています。
アジャスタとワイヤーを切り離すためにはブレーキシューを外す必要があります。

ブレーキシューを取り外すには、まず、ブレーキシューを止めているロックを外します。これは左右にありますが、六画レンチでねじると外せます。





写真が、サイドブレーキの調整ねじです。
これを目一杯縮めてから、左右のブレーキシューをこじりながら、手前に引き起こすようにします。すると、調整ねじの引っかかりが外れます。






ブレーキシューが外れたら、下側のアジャスタからワイヤーを外します。これはピンを抜くだけなので至って簡単です。
写真はそのピンを抜いたところ。
この写真でもハブキャリアが上下逆になっています。



10

ここまで来たら、ハブナットを緩め、フルクラムシャフトのナットを外します。ただし、フルクラムシャフトは、引き抜いてしまうと、ドライブシャフトのみでハブアッシーを支えることになり、不安定になってしまうので、ドライブシャフトのスプラインからハブが抜けるまでは一応はめておいた方が作業はやりやすいと思います。


ハブを引き抜くにはプーラーが必要です。
今回は、小川さんにご用意いただいたクランクプーリー用の大型プーラーを使用しました。
真ん中のボルトを回していくと、ハブが引っ張られて外れるというものです。



その2へ続く
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