エアコンシステム概要


エアコンの修理をするためにはエアコンの仕組みを理解することが必要です。
今回は模式図を使って簡単に説明することにします。

より詳しく知りたい方は、
DENSOホームページに大変詳しい説明がありますので、参考になさって下さい。
また、
小川さんのHPにも詳しく分かりやすい解説があります。




X300では、エアコン関係のユニット/配管はエンジンベイ右側(運転席側)に設置されています。エンジンベイ左側(助手席側)にはヒーターユニットが設置されています。
上が模式図です。


エアコン内部にはR134aと呼ばれる代替フロンが充填されています。
これはご存知の通りガスですが、高圧にして無理矢理押し縮めると、分子間の距離が縮まって液体になります。しかもそのとき、分子同士の摩擦熱で温度が上がります。
このフロンを押し縮めるという作業を行っているのがコンプレッサー(訳:圧縮機)です。実際にはコンプレッサーで押し縮めただけでは液体にはならず、これを更にコンデンサーで冷やすことで液体になります。先の圧縮で温度が上がっているので、外気でも十分に冷やすことが出来るのです(後述)。液体になったガスはドライアーを通ってゴミや水分を除去されます。その後、エキスパンションバルブから霧吹きのように噴射され、エバポレーターで蒸発し気体になります。
このときの気化熱でエバポレーターは急激に冷やされます。それを利用して空気を冷やしています。


気化熱とはどのような物かというと、注射のときにアルコールを肌に塗って消毒すると、アルコールが揮発するときに熱を奪ってひやっとしますね。あのとき気体が奪っていくのが気化熱です。
液体が気体になるには飛び回るためのエネルギーが要ります。それを周りから奪っていくために、その周りの温度が下がるということを利用して、エアコンの冷却が行われています。


では一度冷えてしまったガスをいったいどうやって冷却するのか?
真夏のエンジンルーム内は下手をすると60度くらいになっています。外気温でも40度近くあることがよくあります。
あんなに冷たいところを通って出て来たガスもやはり同じく冷たくなっているはずなのに、何故そんな高い温度の周りの空気で冷却できるのでしょうか。


それは、コンプレッサーで圧縮するところに秘密があります。




気体というのは、物質の分子が自由気ままに飛び交っている状態だと思って下さい。
通常は、温度が低くなると、エネルギーが低くなるため、動き回れなくなって液体になります。
完全に動けなくなって規則正しく並んでしまった状態が固体です。


従って、無理矢理圧力をかけて分子間の距離を縮めると、気体を液体にすることができるのです。
実際には、コンプレッサーで液体になる寸前まで押し縮めています。


無理矢理押し縮めた場合は、エネルギーが高いのに分子の距離が縮まっているため、お互いが激しくぶつかり発熱します。
この発熱した高温/高圧のガスが、コンデンサーで冷却される訳です。
高温になっているため、夏の暑い外気でも十分に温度を下げることができます。
分子間の距離がかなり近づいているため、少し冷やしただけで十分液体にすることができます。


ここからは上で述べた通り。
液体になったガスはドライアーを通ります。混入した水分が混じっている場合にはこれが除去されます。
(※ドライアーの実際の構造は
小川さんのHPで公開されていますのでご覧になってみて下さい)


その後、エキスパンションバルブで圧力が一気に下げられ、霧吹きのように細かい霧状にされてエバポレーター内に噴射されます。
エバポレーター内に噴射されたガスは一気に気化し、気化熱を奪うことで冷却されるという仕組みです。


なお、これは、冷蔵庫やルームエアコンも全く同じ原理を利用しています。


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