フロントクランクシャフトシール交換(2013.1)





エンジンフロントのクランクシールからのオイル漏れが酷く、エンジンの前のみならず下回りもどこもかしこもオイルまみれで辟易していましたが、なかなか重い腰を上げるに至らず、放置していました。

1000km走らないうちに1Lほどオイルを継ぎ足すようになってしまったので、ようやく交換に至った次第です。


なお、交換に際しては海外の
このページが非常に役立ちました。
あわせてご覧下さい。
私の下手な写真では見にくい部分もよく見えると思います。





P1090090
途中までは「クランクダンパー交換」をご覧下さい。
クランクダンパーを引き抜きます。





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クランクシャフトに刺さっているコーン。
これはマイナスドライバーでこじれば抜けてくるはずです。固着している場合はこれもプーラーで引き抜かなくてはなりません。





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この段階で下からの方が作業が楽になるため、オイルクーラホースのリターン側を外します。
(ホースがステンメッシュホースなので非常に固いです。古くなっていると間違いなくホースの移動だけでひび割れますので、こちらも要交換になると思います。)





P1030031.2
矢印で示したのが「キー」と呼ばれるクランクダンパーの位置決め用の部品です。
これを外さなければ先に進めません。
それが何と固着しており叩こうがどうしようがびくともしません。


Pasted Graphic
キーは半月型で、上図のようにクランクシャフトに埋まっています。
ただはめ込まれているだけなので、本来ならこじったりたたき出したりすれば簡単に取れるものなのですが・・・
普通は以下のような方法で外せます。

・クランプバイスで挟んで引き抜く
・半月型なので片方を打ち込んでゆりかごのようにもう片方を持ち上げ、隙間が出来た
 ところに細いドライバーなどを突っ込んでこじって外す
・隙間にタガネなどを打ち込んで持ち上げる
・タイルニッパーでつかんで引き抜く

しかしいずれもダメでした。

仕方ないので、真ん中に溝を掘り、キーの利きを弱くして引き抜く事にしました。

P1090085
この時点で邪魔だったのでクランクポジションセンサーを外しました。


P1030034
リューターに円盤カッターを付けて削ります。
クランクシャフトの位置を細かく調整しなければいけないので、何度もスターターを少しだけ回しては位置調整をする事を繰り返しました。
バッテリーが弱っているときは要注意です。


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かなり掘り進め、途中ドリルで穴を空けたりもし、ようやくたたき出す事が出来ました。
周りに若干傷が入っているので、パーツクリーナーで鉄粉を飛ばし、ペーパーを当てて綺麗にしておきました。
鉄粉は完全に綺麗に取り除いてください。あとでサビになり、ダンパーやコーンの固着の原因となります。


P1030040
たたき出したキー
ボコボコです^^;

このあと、鉄粉を掃除するのもそうですし、あとオイル漏れの跡があまりにも酷かったので、パーツクリーナーとブラシでタイミングチェーンケース周辺を可能な限り掃除しておきました。
こういう付随作業はどこの工場でもなかなかやってくれません。DIYの醍醐味です。





P1030044
ここまで来たら、シールを抜きます。
これはマイナスドライバーの柄をハンマーでたたき割り、軸だけにしたものです。

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これの先をグラインダで削り、刃物のように尖らせます。

P1030032
シールの両側には、画像の通りシールを抜くために若干溝を掘ってあります。
これを利用して、ここから先ほどのマイナスドライバーをハンマーで叩き込み・・・


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てこの要領でこじってシールを持ち上げて外します。
簡単には行きません。
何度も繰り返しグリグリこじります。そのうち写真のようにパカッと外れてくれます。





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シールを抜いたら、ディスタンススペーサーを引き抜きます。

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クランクシャフトとのクリアランスは狭いので、かなりまっすぐに抜かないとすっと抜けてくれません。
キーをたたき出した場合は、キーの溝の周辺をきちんとペーパーがけして磨いておかないと、少しの傷でも抜けてこないくらいの精度です。






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抜いたシールとディスタンススペーサー。

P1030049
スペーサーとシールが当たるところには、ご覧の通り段が出来ています。
幸いなのは段付きが真ん中ではなくズレて付いている事です。
このスペーサーには特に方向などないので、次にインストールする場合には、向きを逆にして、シールが当たる面を写真左側に持ってきてやる事で、新しい面が新しいシールと当たって、シール性を高める事が出来ます。

ちなみに、純正部品ではこのスペーサーとシールがアッシーで出てきます。
おそらくスペーサーの段付きを考慮しての事でしょう。
しかし高いので今回は社外品のシールのみを入れます。





P1030051
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元々のシールと新品のシールの比較。
上が元々のシール、下が新しいシールです。
スペーサーと当たる部分に、新しいシールにはばねが入っているのが分かります。
これならば、スペーサーにシールを押し付けてくれるので、ゴムが硬化してきても今回のように大きな漏れには繋がらないのではないかと思います。

なお、古いシールは指で押さえたあとがガタガタになっています。
弾性が完全に失われてます。




P1030054
さて、ここで、シール打ち込み用のSSTを作ります。
これは水道管補修部品で、5インチ>4 1/2インチのレデューサーです。
どこのホームセンターでも買えます。

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これの4 1/2インチ側のネックをグラインダで切り取り、平らにします。

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5インチ側にはシールをあてがうので、こちらも綺麗にヤスリがけしておきます。
私は目の細かいベンチグラインダの砥石で磨きました。




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P1030066
シールにエンジンオイルを塗り、平らに軽くはめ込みます。
ディスタンススペーサーはまだ入れません。

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ここに先ほどのSSTを当て、クランクボルトを締め込んでゆくと、シールが圧入されると言う仕組みです。




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P1090088
シールは、タイミングケースより気持ち中に入るくらいまで圧入します。
その後、ディスタンススペーサーを入れます。
スペーサーがシールよりもほんの少し飛び出るようにして下さい。
スペーサーがシールよりも奥に入っているようなら、シールをもう少し圧入します。

スペーサーは抜く時よりも入れる時の方が難しいです。
少しでもズレると全く入っていってくれません。
シャフトに潤滑油を塗り、正確にまっすぐ差し込みます。何度かチャレンジしないと無理でしょう。
上手く行くとすっと入ってくれます。

両方が入ったらキーを差し込みます。




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P1090098
キーは純正のものを取り寄せるような時間はなかったので、サイズの近い汎用の国産品を取り寄せ、ヤスリで削って使いました。
国産品(左)は5mm幅でしたが、純正品は4.95mm程度で、若干幅が狭かったです。

純正品を上手く取り出せた場合も、キーに付いた傷をヤスリで削って修正してやります。




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P1090088
キーをはめたら・・・

P1090089
コーンを入るところまで入れます。
あとでクランクボルトで締め込むので大丈夫です。

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クランクダンパーをはめて・・・

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クランクボルトにロクタイト(弛み留め)を塗り、クランクが回り出すまで締め込みます。
締め込むのは車両上方からやった方が楽です。

ぎゅーっと締め付けて行き、ボルトではなくクランクが回り出したら、締め込み方を変えます。
ブレーカーバーを木ハンマーやゴムハンマーで締まる方向に叩いて衝撃を与え、その力で締め込みます。手動インパクトのようなものです。これで普通に締めるよりも高トルクで締め付ける事が出来ます。

あとは全てを元に戻して終了です。



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